■ 端島坑 ■

このデフォルメされた島影がたまらないですね。内海側から眺め
た光景ですが、貯炭場に積み上がる石炭や、学校脇の船着き場など、
細かいディテールがしっかりと表現されています。
本来竪坑櫓は裾広がりの形が原則的ですが、それを逆に表現する
事で、島の活気が感じられる秀逸なデザインだと思います。

■ 採炭 ■

構内作業夫のなかでも最も花形だったはずの採炭夫。当時の写真
をみるとどの作業夫チームにも専用の旗があったみたいですが、作
業を象徴するシンボルが描かれていたのは採炭だけです。
またロゴにはゴシックが使われていますが、これも採炭だけで、
他の作業グループのロゴは総て明朝体でした。
クロスしているのは石炭を掘り出す時に使うコールビック(掘削
機)で、圧搾空気によって稼働し、その衝撃で石炭を破砕し採炭す
る装置です。大正時代以降に使用された機器です。

■ 端島労働組合 ■

端島は戦後労働組合を結成し、その活動も活発なものでした。こ
れは労働組合のマークですが、ほのぼのとした中にも切れのある秀
逸なデザインからは、筋肉隆々な炭鉱マンの優しい汗が感じられる
ようです。
ところで、当時の写真を見ると、同じモチーフですが、人のバラ
ンスや雰囲気が全然違うマークを目にするので、このマークには幾
つもバージョンがあったのだと思います。