高度経済成長による高層建築の乱立で、

70年代頃から都市部で徐々に問題にな
ってきた日照の問題も、この島ではその ずっと以前から抱えていました。ただで さえ高いビルが乱立する上に、土地が狭 いために建物同士の間隔も十分にとる余 裕はありませんでした。
  島内の特に住宅棟が密集する地域を歩 くと、高さは高くありませんが、それだ け道幅も狭いので、ビルの谷間から見え る空の光景は、ともすればマンハッタン の様な狭いものになっている所がたくさ んあります。当然下方階の日当たりは悪 く、少し陽が傾くと薄暗くなる場所も少 なくありません。この日照の問題解決の 顕著な試みが日給社宅に残っています。

日給社宅は櫛状に並ぶ5棟の建物ですが、

その居室側の壁を上に行くに従って少し ずつ後退させることによって少しでも陽 が入るような措置が施されました。
 
日給社宅

 

コンクリートの森

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